フクシマ原発事故後の周産期死亡の増加はどうなっているか?

 原発事故後の健康に対する影響は一般に、よく知られていない。主にがん、特に甲状腺がんが増えることくらいしか知られていないのではないか。

 しかし実際にはそれだけではない。チェルノブイリ原発事故後、ドイツ南部に放射性物質が飛来した。その影響で、ドイツ南部でも汚染が広がる。そのためぼくには、原発事故のあったチェルノブイリ周辺よりも、ドイツにおける放射能汚染による健康に対する影響のほうに関心があった。それは、ドイツのほうが日本の生活環境に近いからだ。生活環境の条件が似たドイツのほうが、日本のフクシマ原発事故後の影響に参考になると思った。

 ドイツで調べた結果は、『ドイツ・低線量被曝から28年、チェルノブイリはおわっていない』(2014年、言叢社刊)としてまとめた。ドイツでも低線量被曝による健康への影響はほとんど知られていない。しかし、乳児死亡、周産期死亡、先天異常がチェルノブイリ原発事故後に増えていた。さらに、女児の出産が減少していた。いずれも、統計解析的には有意な変化だった。

 ドイツではフクシマ原発事故後も幸い、チェルノブイリ原発事故後に健康への影響を解析した専門家がまだ研究を続けていた。ただ影響を科学的に解析するには、しっかりと信用できる統計データが必要だ。日本に、出生や死亡など日本の人口の変動を記録する統計データがあることを知った。日本の統計庁がそれを「人口動態統計」として公表している。

 先天異常については、日本では全体数が把握されておらず、科学的に統計解析することは無理だとわかった。

 そのため、人口動態統計から必要なデータを表にしてまとめ、ドイツの専門家に解析してもらうことになった。これまでその解析結果は、関連する国際専門誌による審査を経て、国際専門誌で公開されたこともある。

 その結果、原発事故のあった福島県を含む周辺県で周産期死亡が有意な増加を示すことがわかった。周産期とは、妊娠22週を終えた段階から出生後7日未満まの期間をいう。調査では、2018年までの統計データについて解析してきたが(「日本の周産期死亡の動向 - 2001年から2018年までの解析アップデート」(日本語ドイツ語)、その後の動向は解析していなかった。

 女児が減る問題はフクシマ原発事故後、事故後数年間はまだはっきりとした兆候をしてしていない。

 そこでフクシマ原発事故15年となるのを前に、現在入手できる2024年までの統計データを新たに解析してもらいたいと思った。そのため今回、エクセルファイルとしてまとめた統計データを更新した。

 これまでは、ドイツの専門家だけにしか解析してもらってこなかった。しかし、フクシマ原発事故による健康影響に関心を持つ専門家にもっと広く解析してもらいたい。そのため関連する統計データを日本語版、英語版、ドイツ語版ごとにエクセルファイルにして、ここで公開することにした。

 関心のある専門家には、以下から統計データをダウンロードして解析してもらいたい。


・フクシマ原発事故人口統計データ(日本語)


・Fukushima NP accident – Vital Statistics(english)

・Nukleare Katastrophe Fukushima – Vitale Statistik(deutsch)

フクシマ事故